CASESTUDY
導入事例

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井 聡一郎様インタビュー 導入事例

導入製品
  • 特別編
カテゴリー
  • 文教分野
  • 株式会社情報通信研究所
    特別研究員 平井 聡一郎 様
公共教育のLTE端末導入事例の先駆けとして全国から注目され、真の学校教育におけるICT導入について、研究、提言を続ける。平井聡一郎 様インタビュー

平井先生は、古河第五小学校校長時代に自力でiPadを100台調達し、授業用iPad全数のキッティングを自ら手がけられ、Usb-HUB28時代から弊社製品をご利用いただいておりました。

公立小学校へのiPad導入黎明期から苦労を重ねられ、2015年、古河市の小中学校にはiPadセルラーモデル1421台が導入され、自治体のLTE端末導入事例の先駆けとして全国から注目されています。
真の学校教育におけるICT導入について、研究、提言を続けられている平井先生に学校教育現場に望まれる製品とは?という視点にてプロダクトデザインを生業にする一企業として、お話しを伺いました。

古河第五小学校 校長時代

子供たちが誇りに思える、プライドを持てるようなものを 学校教育の中でやっていきたい

MT-planning鈴木(以下鈴木):お忙しい中、お時間頂きありがとうございます。今日はよろしくお願いします。 早速ですが、Usb-HUB28をお使い頂いていた頃、平井先生が古河第五小学校の校長先生でしたが、あの頃はどのようにICTの導入を始められたのですか?

古河市教育委員会 平井聡一郎 様 
(以下平井様):最初は、教育委員会にICT導入モデル校制度を作ってもらい、市の補助金を使いまして、10台のタブレットを手に入れてやってみました。それから「グループ1台より、一人1台あったほうがいいね」となり、次の年に30台を追加して途中でもっと欲しくなって(笑)、Apple Japanさんに頼みこみ、アップル本社に行ってプレゼンまでして、なんとか60台を借りることができました。通常は3ヶ月くらいしか貸してもらえないので、2回連続でかりることで、学校分と併せて合計100台が用意できました。

古河市教育委員会平井聡一郎様

古河第五小学校は生徒数120人くらいの学校だから、これで、ほぼほぼワンツーワンの環境ができたわけです。こうして活用を進めていったら、子どもたちはもちろん、先生の授業も変化していって「これはいいね」となりました。その後、当時、元上司が教育長になり「うち(古河市教育委員会)に来い」と言われて、いままでやってきたことを古河市全体で横展開することになり、今のカタチになりました。

鈴木:古河第五小学校の校長先生をなされていたときに、市の中心部に立地することからドーナツ化現象で、廃校になってしまうかもしれない、それを打破するには何か特色を出して残したいということを伺った記憶があります。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:それはあります。もう、だんだん児童数が減ってきており、校長最後の年は110人くらいまで来たかな。何か特色を出していかないと、と。やっぱり地域のコミュニティの中心としての小学校だから、地域の人達の誇りを持てるような学校にしたい、そのときに何か特色が欲しいと。「うちの学校、こんなことやってるんだぞ、すごいんだぞ」と。

そうでないとただの小さな学校になってしまうし、小規模校って中学校に上がったときに埋もれちゃうんです。埋もれてしまうなかで、やっぱり「自分たちは小学校のときにこんなことやってきたんだ」、「五小はiPad使えるんだ」とかね。子どもたちが誇りに思える、プライド持てるような、そういったものを小学校の教育で、やっていきたいな、というのが校長としてありました。

あとはもう一つ、これからどのみち(ICT導入を)やっていくときのために、モジュールを作りたいなと。 続けられる仕組み作りが大事。ICT支援員入れて「ああやって、こうやって」といっても、なんだ、結局「おんぶに抱っこ」じゃないか。この人らがいなくなったらどうするの?って。ICT支援員さんがいる間は頼るでしょ。実際は支援員さんが支援員じゃないんだもん。(PCの操作を先生に)教えているんだもん。それは違うだろって。サポートじゃなくて頼りっきり。「いつもどうするの?どうするの?」って聞いている先生は、やらされている感じがあってやっているから、上手くいってるのは、ほんとに数少ないよね。

古河第五小学校でやってきたことは、いろいろなことを試して、何がいいのかをモデル的にやろうと。行政側から言われるのではなくて、僕が勝手にやっていただけの話だから。

ただ、勝手にやっているのは嫌だから、モデル校というのを作ってもらったんです。指定されるんじゃなくて、こっちがモデル校やりますから認定してくださいって。そうすれば教育委員会はモデル校を通して実験したといえるのだから。

だからMacが欲しくなる

自分で教材を作るには、子どもたちが使う教材がiPadである限りは、先生はMacが欲しくなる

鈴木:先日、第3回古河市ICTフォーラムに伺って、私の後ろに古河市の一般の先生がいらして、「エバンジェリストになると何か良いことあるのかな?」って言っていましたよ。「みんなMac持っているけど、エバンジェリストになるとMacを貰えるのかな?」とエバンジェリストを羨ましがっている様で印象的でした。

平井様:iPadを使ってずっとやっていくと、Macとの相性がすごくいい。だからMacが欲しくなっちゃう。ボーナスで買っている先生、何人かいるもんね。

鈴木:Windowsでできることに合わせてたら、全然間に合わない。

平井様:やはり自分で教材を作るには、子どもたちが使う教材がiPadである限りは、Macが欲しくなるかな。

古河市教育委員会平井聡一郎様

鈴木:iPadなど、Apple製品はハードウエアの耐久性が高いということはよく伺いますが、どうですか。

平井様:それはあるね。iPadはケースに入れているから、物理的な故障はまだないね。故障という点では全然心配ない。稼働率はすごく高い。ケースも、たくさん種類があって。いろいろある中から選べるのは大きいと思う。BYODで使う場合ケースを自由に選択できると、誰のiPadか識別できて便利だね。アクセサリの種類がたくさんあるってこと、選べるってことは学校においても非常にプラス。Chromebookもいんだけどケースがないんだよね。

鈴木:メーカーごとに違うことになるから、調達が大変ですね。

平井様:iPadのようにたくさん売れるものでもないから、メーカーさんもあまり作らないよね。

鈴木:iPadの市場はかなりの規模がありますものね。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:そういった点で単価も安くなってくるし、数量も見込めるからね。iPadの優位性は、小学校に関しては確実にある。iPadなら基本的にiPadだけでアプリもいらない。無料のアプリでだいたい解決してしまう。Keynoteはあるし、GarageBandも入っている。だいたい一通りのものが入っていて、ほとんどが無料のアプリでもまかなえちゃう。これは大きい。 アプリもそうだけど、「シンプルで汎用性がある」ってことがツールの条件だと思っている。使い方の研修会やらなかったら、使えないようなものは、一切ダメ。だから僕はロイロノート・スクール(以下ロイロ)に統一したんです。研修会はロイロだけ

ロイロの良いところは、ロイロのデータって、自動的にクラウドにあがっちゃうんです。ロイロは、デバイスの中にはデータを蓄えない。デバイスにデータが溜まっていくときと困るのが写真。誰か他の人の写真が入っていると消せないでしょ。日本中の7割8割は共用だから。ワンツーワンの学校ってほんのすこししかない。うちだって1人1台あるのは3校だけ。他の学校はどうするの?っていったら、こうやってデータをあげるか、うちみたいにGoogle ドライブに入れるか。

鳥居:生徒一人ひとりのフォルダはないのですね。

平井様:うちはサーバーがない。アクセスポイントやサーバーがないっていうのが古河のポイント。

通信環境のアウトソーシング

公務員として最高の仕事をしていますよ

鈴木:古河市はフルクラウドにすることで資産を下げるという解決策を取られた。平井先生の試算だと、LTEを導入することは、無線LANを敷設とほぼおなじコストでランニングできるということでしたね。

平井様:無線LANに接続できないとか、サーバーが落ちるとかネットワーク系のトラブルが一番どうしようもない。トラブルが起こった時に、先生が自分で対応できない。トラブルの切り分けだってできない。古河のエバンジェリスト達は、トラブルの切り分けができるところまでは成長して欲しいなと思っている。直せなくてもいいから、このトラブルは大体ここが原因だろうなっていう見当がつくレベルまで行ったら大したものです。トラブルが起こっても、職員室のハブの電源が落ちてただけとか、そんなものだから。あとは有線LANのネットワークハブにケーブルを差し込んでネットワークがループしていたりとか。この2つでだいたい蹴りがつく。学校のトラブルでこれ以外のトラブルはみたことがない。

鳥居:そう考えるとLTEは手離れがいいですね。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:だってトラブルの原因がない。もし繋がらなかったらキャリアに電話して、「繋がらないよ!どうなってるの、調べて」って(笑)。たくさん繋いで動きが悪かったら、キャリアにアンテナを立ててもらえばいい。手間というか、精神的な負担を考えたら楽です。もし教育委員会が無線LANを用意していたら、古河市は学校が32校でしょ、1校が1ヶ月に1回トラブったら、こちらは毎日現場にいなければならない状態になってしまう。こう考えると通信環境のアウトソーシング、と考えればいいわけです。学校がやるべきものではない。通信環境が悪かったら、「無線LANを増強します」っていってもお金がかかる訳です。でも、LTEならキャリアがアンテナ立ててくれる。校庭内にLTEのアンテナを立ててくれるならば、市が校庭の隅っこを貸せばいいんです。市に家賃収入が入ってくるんですよ(笑)。

アンテナ一本立てるのは何千万とかかるけど、アウトソーシングしているわけだから、キャリアが出してくれるんですよ。

鈴木:周辺環境住人の通信環境もよくなりますね。

平井様:そう。これは公務員としては最高の仕事をしていますよ、地域住民のためにも。小学校って市内に適当に散らばっているんです。小学校が全部ばっちりLTE環境になるってことは、市内全部が快適なLTE環境になるってことだから。

これからの電源ソリューション

USB端子から充電。そう考えたらもっと面白いことができるんじゃないかな

平井様:いまのところは、共用のタブレットを使い回ししているから、充電保管庫に入れることになってるけど、将来は保管庫はいらなくなるのじゃないかな。家から持ってきたけど『充電ができてないよ。朝来て、急速充電やります。』なんてケースも出てくる。

鈴木:iPhoneの急速充電みたいに、10分や15分の充電でも、そこそこに使えるくらいまで充電できるようになればいいですよね。

平井様:そういったものがこれから必要になってくるかな。あとLTEになると意外と外で活動するでしょ。そのときにモバイルバッテリーを使ったりするかな。モバイルバッテリー持っている人が多くなっているし、あらゆるモノの電源にしたいね。

リコーさんが新しいちっちゃいプロジェクターRICOH PJ WXC1110作ったんだよね。あれ明るいんだ。600ルーメンくらいある。他のこんなちっちゃいやつは100とか200ルーメンなんだけど、すごいアドバンテージがある。でも普通の電源なの。

古河市教育委員会平井聡一郎様
古河市教育委員会平井聡一郎様

SPHERO SPRK+ってさ、ACアダプタもついてないんですよ。これってACアダプタは誰もが持っているという前提なんです。その分コスト下げられるわけです。新しいSPAK+は旧機種よりも性能がアップしていても、コストは同じなんです。アダプターを同梱しない分、コストを抑えることができたわけです。

鳥居:これはUSB電源の5Vですよね。

平井様:これからはそれを前提に動くものを設計していけばよいわけで、これだけ普及しちゃったから、今はスタンダードだと思う。そういったものを活かしていけば、ポータブル性がより進むんじゃないかな。大型のモバイルバッテリーあれば、4、5回充電できるから、外の仕事はそれで十分になるでしょう。プロジェクターだって、USB給電でつながってくれるといいよね。電気的な問題だから、メーカーが頑張ってくれればいい。充電器はなし。必要な人は充電器を買えばいい。USB端子から充電できればいい。そう考えたら、もっと面白いことができるんじゃないかな。

複数台を使うためのデザイン

複数台使うという環境ではいままでなかった問題が出てくる

平井様:旧型のSPHEROはまとめて充電するのが大変だったの。テーブルタップで充電器同士が干渉しちゃって、同時につなげられないですよね。家で1人が使っている人は問題なくとも学校で使う、複数台使うという環境では違って、いままでなかった問題が出てくるから注意が必要だね。

三ヶ尻:iPadのACアダプタはコンパクトですよね。OAタップに並べて付けられる。このデザインは凄いなと思うのですが、他のAndroidなどのタブレットのACアダプタはカタチがバラバラで、OAタップのコンセントを1個飛ばしにしないと充電できない。複数台を一斉に充電することに、他のタブレットメーカーは気づいていない。

平井様:それは、メーカーが汎用品を使って安く仕上げるからそうなっちゃってるだけですね。Appleの製品は工業デザインとしてキチンと考えられているから、ありがたいなと。学校で40台を同時に使うってことはいろんな場面や物理的な部分での障害もでてくるから、それに対してやさしいものであるってことは、製品として大事かな。

古河市教育委員会平井聡一郎様

鳥居:Appleでは、iPadを複数台管理するために、無料でApple Configurator2のようなものを用意していますね。

ChromeBook

ChromeBookがある程度、標準機になってくれると、ちょっと面白いな。

鈴木:AndroidにはApple Configurator2のようなキッティングツールはあまりないですよね。

平井様:これからはChromebookですよ。OSのレベルでキッティングができちゃうんだから。Androidアプリが使えるようになってきたら、もう全然困らない。

三和東中学校で使っているChromebook ASUS Flip_C100PA。これは3万5000円くらいかな。でも3万5000円っていう質感じゃないね。昔3万5000円って言ったら、もっとプラスチックでちゃちくて。これはつくりがいいですよ。フラットになって、テントスタイルにもなる。キーボードとディスプレイを真っ平らにしてみんなで見て使うような場面は出てくるかもしれない。ディスプレイを反転できるから、タッチでも使える。でも子どもたちは普通にキーボードで使っていることが多いね。 やっぱりキーボードで操作するのも大事なので。これからCBT(Computer Based Testing)でね、大学入試もコンピューターベースになってくる。CBTに対応できること、キーボード入力できるってことが、大事になってきますね。

三ヶ尻:最近では大学生でもキーボードが打てない学生さんがいるって言われていますものね。

平井様:Chromebookがある程度、標準機になってくれると、ちょっと面白いな。ただ、この機種が残念なのは、カメラがディスプレイ側だけなんだ。アウトカメラがないからディスプレイ画面見ながら撮影している。この部分が不満かな。

鈴木:最近、WindowsからChromeBookに変えるって学校が増えてますね。

古河市教育委員会平井聡一郎様
古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:ちょっとやってる先生だったら、この良さがわかるからね。

これでスクールタクトが動いてロイロノートが動いてってなったら、さあどうする?

ロイロの杉山くんにAndroid/ChromeBook対応できないのって聞いたら、今度できたからOKだよって言っていたからこれからが楽しみだね。

これからはマルチOS

マルチOS、マルチデバイス、クラウドプラットフォームで動けば全然問題ない。

鈴木:端末のサイズとしてはどうですか?

平井様:10.1インチはちょっと小さいかな。もうちょっと欲しいね。12インチくらい。もう少し大きいのが欲しいって子供からも聞こえてくる。

鈴木:小学校的には12インチがベストですか?

平井様:ものによってね。普段使うんだったら大きい方がいい。iPad miniはやっぱり小さいとおもう。低学年でも小学生には小さい。ディスプレイに映る情報量の問題だからある程度の大きさが欲しいな。デジタル教科書が入ってきたときには、やっぱり大きい方がいいな。

古河市教育委員会平井聡一郎様

鈴木:学芸大学附属高校さんがiPad miniだったね。あの学校は机が小さかったからかな。

三ヶ尻:学芸大学附属高校さんはiPad miniもあるけど、Chromebookも入っててiMacも使っているし、色々と入れていましたね。結局、生徒さんたちが卒業したあと、どのデバイスを使うかわからないから、一つのデバイスに決めないで色々な端末を使える様にとのことでした。

平井様:三和東中学校もそうなんですよ。Windows7とWindows10とAndroidとChromebookとiOSも入って、ほんとになんでもアリになってきたね。マルチOS、マルチデバイス、クラウドプラットフォームで動けば全然問題ない。これからはそこを実験としてやっていかなくてはならない。それできちんと動くものってなに?アプリも画面サイズ変わってもちゃんと動くアプリってなに?ってことを僕らが確かめておきたいな。

やっぱり大画面

教室に必要なインチは、クラスの人数x2倍

鈴木:佐賀の研究大会でお知り合いになった教頭先生の学校でiPad Proの12.9インチを使っている学校がありましたね。徳島県三好市下名小学校。小規模校で遠隔授業が切実な地域と伺ったので、台数的には10台ぐらいかと思うのですが、12.9インチで協同学習をやっているのは広がりが感じられる。やっぱり「大きい画面の端末を使うともう戻れない」って言われていましたね(笑)。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:教員としては大きい画面が欲しい。一つのタブレットでフラッシュカードみたいにパッと見せられるのがいい。やっぱり教員用として指導用として12.9インチはいい。

鈴木:AirPlayでAppleTVに画面を飛ばさなくても、手元でみせながらで出来ちゃうのがいいですよね。そういった点での時間の短縮も重要ですね。

鳥居電子黒板などと併用するわけではないんですか?

平井様:古河市は電子黒板ないから。プロジェクターも授業ではあまり使わない。基本はテレビ。映ればいいんですよ。ロイロを使ってたら電子黒板がなくても大丈夫。

鈴木:タブレットの画面に書けば、テレビに大きく写る。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:電子黒板って書いているときに、子どもたちに背中向けているんですよ。だったら生徒に顔を向いて、タブレットにこう思いますって書いて、大きく映したほうがいいでしょう。オーディエンスの顔を見ないでプレゼンするようなものですよ。

鈴木:すでに電子黒板が入っている学校さんとかは、画面が小さいところが多いですよね。55インチと60インチかそのくらいかな。僕は目がよく見えないから、授業を見学に行っても後ろからだと見えないですもの(笑)。

平井様:教室に必要なインチは、クラスの人数x2倍と言っています。30人だったら60インチ。60インチを一番下限にしましょうかと。教室が満員だったら80インチは欲しいよね。体感的に僕はそう思っている。小さい学校では最低60インチだっていいよ。小規模校まですべて80インチ入れる必要はない。僕が古河第五小学校でやったときに、一通りそろえて、いろんなインチサイズを比べっこして、そこらへんだなと。基本テレビでも十分。テレビは明るくて綺麗だしね。

これからの教室に欲しいもの

コンピューター教室があったから日本のICT教育はダメになったと思う

平井様:これから必要なものといえば、教卓はなんとかしたいな。

三ヶ尻:教室には教卓と先生のデスクもありますよね。

平井様:あそこはテレビを置く場所ですよ。窓側だと光が入ってきて反射しちゃう。窓の外側に背に向けて、テレビを教室の内側に向けるといいんですよ。教室は昔のスタイルの授業をやってる作りだから、教室のつくりそのものを、もう変えなきゃいけない時期ですね。

やっぱり教卓を自由に動くようにしないと。いままでの先生が喋って生徒が聞くっていう一斉授業なら良いけれど、これからは生徒の出番が増えていく。自分の席で「はい!」って言ってその場で発表するんじゃなくて、前に出てきて、みんなに向かって発表するいう場面を作ろうとしたらね。やっぱり黒板の前って子供にとってもステージだから。「ステージはキレイにしておきましょうね」、先生は脇にどきなさいって(笑)。スーッと動かせる教卓があって、教卓のところにちょこっと教材挟んでおけるような仕組みがあって、教科書を置いておいてとか。2個あったってかまわないと思うんだ。子供が記録する台とか。いろんな使い方を考えられるような、移動式のデスクとかが。いまのところエルゴトロンのLearnFitがそれに近いカタチだから。これからは教室のつくりそのものが、子供たちにアクティブで学びやすいような、つくりを考えなきゃならないな。

古河市教育委員会平井聡一郎様

これからは授業の組み立てが違っていくから、教室の配置をそれに合わせて変えていかなきゃいけない。そういう発想を学校は持たなきゃならないし、そういうものを整備するってのが、僕達の役割なんだ。

古河市の場合はコンピューター教室をすべてなくしちゃった。タブレットだから使うのは教室。コンピューター室があったから日本のICT教育はダメになったと思う。学校に一部屋でしょ。そこに行って授業をやるって、順番待ちになっちゃう。だからICTは普及しなかった。

いろいろな勉強のスタイル

立って勉強するっていいよね。

三ヶ尻:古河市での何か特徴のある活動はありますか?

平井様:上大野小学校は、エルゴトロンのLearnFitを使って立って学ぶ場にしている。

上大野小学校に一教室20人分。立って勉強するっていいよね。導入している学校の授業をみて、「なるほどな」と思った。

古河市教育委員会平井聡一郎様

鈴木:どんな授業で使っていますか?

平井様::総合の授業が多いかな。思考を伴うときに、グループが順次編成が変わって、テーマごとに集まったりね。ジグソー学習も簡単にできる。いろんな学習法、スタイルがあるんだから、それに合わせてどんなものが、どんな什器が必要になってくるのか、ってところを考えなきゃならない。これからの学校は、今以上にタブレットがもっと数が増えていったときに「何が必要なんだ」ということと、アクティブラーニングになって、子供たちが自由な学習活動をやるときに必要な「作り」ってなんなんだ、っていう、この2つのことを学びの施設環境を整備する側としては考えなくてはならない。ただ、管理っていう別な視点もあるから、管理ツールも必要になってくる。電源の部分とかを含めてね。大きく分けて、そういったところでの良いツールが欲しいなっていうのがすごく感じます。

新しいツール

僕らは、メーカーさんに提案して欲しい。

平井様:今までと同じことでは売れないし、逆に僕らは、メーカーさんに提案して欲しい。学校とか教育委員会とかは頭が硬いから。昔のスタイルでずっときちゃっているから、それを変えるような提案型の企画を学校にもぶつけてくれるとありがたい。

鈴木:弊社のTablet*Cart Noteのように扉が270度開くってのも、いまでは公共向けのスタンダードですし、うちも一番最初に平井先生が扉を開いた状態で固定できないとダメっていうアドバイスからスタートです(笑)。

三ヶ尻:作りましたよ!

平井様:ああいうのは必要ですよね。子どもたちは保管庫に一斉に集まってくるわけだから。絶対そういう状況が起こるんだって、のを何度も見てるから。細かいところだけどその辺のつくりを工夫して欲しいね。

古河市教育委員会平井聡一郎様

児童が動かすときには、荒っぽい子もいるし、タイヤの大きさを考えてみたり、ぶつかっても大丈夫な強度を持たせたりとか。どんどんブラッシュアップしていって、良いものができていくから。そういう実験場として企業の方も学校をどんどん使ってください、という感じです。

新しい教育スタイルに向けて

新しい学びには新しいツールが必要

鳥居:今はいろんな授業のやり方があるんですね。そのスタイルごとの状況をシミュレーションをして、我々も考えていいのかなと思いました。

平井様:「こんなことやるんだったら、こんなものがあったらいいね」という提案型になるでしょう。これ使って、こんな授業をやってみませんか?というようなスタイルの営業かな。企業さんがやっているようなことと、学校のグループの学びには共通点があると思う。

鳥居:お話しを伺っていると学校の授業をやっているというよりも、仕事のミーティングをやっているようなお話に聞こえてきます。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:そういったものが、これから必要になっていくんですよね。だから、企業が会議やプレゼンでしているようなことを授業でやってほしいんですよ。

これからはね、いろんなスタイルの授業があるのがマスになる。教室で先生が1人話している授業は割合的には減っていくんだろうと思う。グループで活動するとか、みんなの前で発表するとか。この間も、発表でジェスチャを使うために子供の手を自由にしてあげたいから、ワイヤレスのインカムをつけさせたね。

これから企業に提案してもらいたいのは、新しいクラスルームのあり方だよね。これから学びに必要なものというのは、いままであったものでは足りない。これからはそれを開発していかなくてはいけないという視点が絶対に必要。新しい学びには新しいツールが必要だと。とりあえずメインのツールはできてきた。デバイスがだいたい固まってきたとするなら、それを支えるような新しい周辺機器がまた求められてくるのではないかと。

何が必要になってくるのかは、はっきりいって進んでみないとわからない。これまで必要なかったものの需要がどんどんでてくるんじゃないかな。

メーカと、僕らみたいなユーザーが、一緒になって製品開発できるようなカタチを作っていくことが、もっと必要なのかなと思います。失敗事例、成功事例、いっぱい見てきているし、成功事例のいいとこ取りをすれば、失敗しないから。そのためにも無駄と思えてもいろんなものを見てくる、ダメな例も見てくる。

鈴木:ダメなところも見ないといけないですね。

古河市教育委員会平井聡一郎様

平井様:いいところばかりでもダメなんです失敗事例を見ていると、なんでここ失敗したんだろうとか、うまくいかないんだろうな、とか、たぶんこれが悪いんだろうなというところも含めて見ないと。

鳥居:われわれはデバイスを提供する側だから、新しいクラスルームをサポートできるデバイスを考えつつ、今ある製品もこれからのストーリーの中でどういうふうに使ってもらえるかって、ところを考える必要があるのかなと思いました。どこで何ができるのか、というところを現場でちゃんと見ておきたいですね。

平井様:まあ、いつでもうちは授業を公開しますので、また遊びに来て下さい。

鈴木:今日はどうもありがとうございました。

お見積・ご購入について

製品に関するお問い合わせ、ご購入、お見積依頼、納期回答、販売代理店のご紹介等につきましては、下記の連絡先にお問い合わせください。

製造・販売

エム・ティ・プランニング株式会社
https://www.mt-planning.com/
〒150-0012
東京都渋谷区広尾1-3-18 広尾オフィスビル6F
TEL:03-6456-2850(第二商品企画部直通) Fax:03-6456-2844